数十年前から変わらず、職業詐欺は企業を悩ませています。公認不正検査士協会(ACFE)は、「2020 Report to the Nations on Occupational Fraud and Abuse(職業的不正と濫用に関する国への報告)」の中で、米国の組織は、組織の資産の悪用から不正な財務報告など、年間収益の5%を不正行為によって失っていると報告しています。
過去数回の調査において、この割合は一定しています。報告書によると、1件あたりの損失額の中央値は12万5,000ドルで、不正行為の中でも最も多いのは汚職と請求スキームであることがわかりました。ほとんどの場合、調査によると85%において、加害者には特定の個人的特徴や行動パターンが見られます。
詐欺師の典型的な行動の特徴
経営陣や同僚は、「詐欺師」の警告サインを目にすることがあります。ACFEの報告書によると、最も典型的な特徴は、「身の丈を超えた生活」と「財政難」の2つであることに変わりはありません。その他の警告サインは以下の通りです。
- ベンダーや顧客に近づきすぎる
- 制御の課題
- 防御が固い
- 策略家
- 家族の問題
- 依存症
オーナーや役員の不正行為の割合は少ないですが、報告された事件による損失の中央値は最大で7倍にもなります。
これらの行動上の典型的な特徴はすべて、不正行為を発見するための手がかりになります。しかし、どれも単独で考えるべきではありません。このリストに記載されているいくつかの行動が見られる場合は、特に注意する必要があるかもしれません。ただし、1つ以上の典型的な行動が見られたただけでは、従業員が不正行為を行っている絶対的な証拠にはならないことに注意してください。
典型的な詐欺師の特徴
ACFE 2020の報告書では、観察された行動上の典型的な特徴に加えて、詐欺師の特徴についても分析しています。以下の特徴があります。
- 性別:米国で報告された詐欺事件の約6割が男性によるものでした。また、男性が行った詐欺の損失の中央値は、女性が行った詐欺の2倍近くになります。この違いは、男性が管理職や役員クラスの役職に就くことが多く、より大きな金額の不正行為を行う機会が多いことに起因すると考えられます。逆に、従業員レベルの事件だけに絞ると、男性と女性の加害者の損失額の中央値は同じになります。
- 年齢:今回の調査では、報告された不正行為のうち53%が31歳から45歳の加害者によるものであったと結論づけています。一方で、年齢と損失額の相関関係は強く、55歳以上の詐欺師の損失額の中央値は、他の年齢層の約3倍となっています。
- 教育レベル:報告された不正行為の78%は、大学に通っているか人物か、大卒者によるものでした。また、加害者の教育レベルが高くなるほど、詐欺によって被る損失の中央値も高くなることがわかりました。大卒の従業員は、中央値で175,000ドルを持ち逃げしており、これは大卒でない詐欺師の2倍以上です。
- 勤続年数:この調査では、ある個人の勤続年数と、その従業員が不正行為を始める時期との間に強い相関関係は見られませんでした。しかし、1件あたりの損失額(中央値)を見ると、長期勤務の従業員の方がより大きな不正行為を行う傾向があると結論付けています。
- 役職:不正行為の75%以上は、スタッフや管理職によるものです。オーナーや役員が行う不正行為の割合は20%と少ないものの、報告された事件による損失の中央値は、スタッフが行う不正行為の10倍に達しています。
- 前科:この調査では、報告された不正行為の大部分が、前科のない犯罪者によるものであることがわかりました。ただし、この種の詐欺行為が初めてというわけではないことに注意してください。最初は捕まらなかったのかもしれませんし、以前の雇用主が当局に問題を報告しなかったのかもしれません。また、検察が本人を告発しないことにした場合もあります。
- 共謀:報告されたケースのうち、加害者が1人だけのケースは半分以下でした。また、共謀があった場合、加害者が増えるごとに損失額の中央値が大きくなっていました。従業員が協力して計画を遂行する場合、内部統制が機能しなくなるのは当然のことです。
警告:詐欺師の頻出行動を見逃さない
大企業、中小企業を問わず、企業は不正行為による損失の脅威に直面しています。不正行為は何十年も前から行われており、今後もなくなることはないと思われます。
すべての企業は、行動上の典型的な特徴に注意を払う必要があります。最も効果的な不正防止プログラムには、誰が何を探しているのかを知り、常に兆候に気を配り、不正行為が疑われる場合にはより深く事実を収集し、不正行為が発見された場合には迅速な行動をとることが含まれます。
これらの典型的な特徴についての質問や、組織での不正行為を防止する方法については、こちらをご覧ください。ぜひお電話ください。