多くの会社は、企業年金制度の申告義務として、様式5500を毎年提出する義務があることを知っています。しかし、医療費や生命保険といったその他の福利厚生プランについても、様式5500の提出義務があることは意外に知られていません。
これらのプランはすべて、1974年の従業員退職所得保障法(ERISA)において「従業員給付制度」とみなされます。そのため一定の条件を満たす場合は、様式5500の申告義務が発生します。この申告義務を怠ると、労働省(DOL)や内国歳入庁(IRS)から多額の罰金を課せられる可能性があります。
様式5500の申告義務の要件とは?
ERISA法では、一般に以下の条件を満たす福利厚生プランは、様式5500の提出が義務付けられています。
- プラン年度開始時点で100名以上のプラン加入者がいる。
- 加入者の人数に関わらず、信託を通じて資金が提供されている。
この規則では、政府機関や教会については、申告義務が免除される場合があります。
様式5500上では誰が加入者とみなされますか?
以下の条件に該当する場合は、「加入者」とみなされます。
- 福利厚生制度に加入している(登録している)現在の従業員
- 福利厚生制度に加入している元従業員(COBRA、退職者医療などを受けている人)
- 元従業員で、COBRAによる受領資格を満たすが、まだCOBRAを選択していない人
配偶者や扶養家族は含まれません。
企業年金制度とは異なり、従業員が福利厚生プランに実際に加入していなければ、アクティブな加入者とはみなされません。福利厚生プランの参加資格があっても、加入しない選択をした従業員は、加入者としてカウントされません。
報告する福利厚生プランの数について
雇用主は、様式5500の申告義務がある福利厚生プランの数を、正しくい把握する必要があります。判断基準としては、スポンサー企業が、福利厚生が単一プランとして提供されているのか、それとも別々のプランとして提供されているのかを、確認する必要があります。複数のプランが存在する場合、スポンサー企業が、それらを一つの総合プランであると明確に文書化すれば、一枚の様式5500の申請で済みます。
様式5500の申告義務を怠っていた場合、何をすべきですか?
申告義務を怠っていたと気づいた場合、罰則を最小限にするために、申告対象となる全ての年度とプランについて、様式5500を早急に提出することが重要です。様式5500の提出遅延によるペナルティーは、DOLの罰金が1日あたり2,233ドル(指数化されており、上限なし)、IRSの罰金が1日あたり25ドル(申告につき15,000ドルが上限)となっています。
近年DOLは、様式5500が提出されていない可能性のある福利厚生プランに注目しています。特に企業年金用の様式5500に、プラン加入者が100人以上と申告されているにもかかわらず、その他の福利厚生プランに対しての申告がない場合は、注意が必要です。
どのような罰金救済措置がありますか?
必要な様式5500を提出していないことが判明した場合は、DOLのDelinquent Filer Voluntary Compliance (DFVC)プログラムに基づいて、申告義務を怠っていた様式を提出することができます。DFVCプログラムとは、雇用主がDOLから書面での通知を受領する前に、自発的に遅延申告を行った場合に、罰金が軽減されるシステムです。
DFVCプログラムで申請することを強くお勧めします。罰金の減額は、申告書1枚につき1日10ドルで、加入者が100人未満のプランでは750ドル(複数年度の場合は1,500ドル)、加入者が100人以上のプランでは2,000ドル(複数年度の場合は4,000ドル)を超えない範囲で設定されます。場合によっては、DFVCで自発的に申告することによって、膨大な罰金を回避することができます。
様式5500の申告義務に関するご質問や、DOLのDFVCプログラムによるサポートが必要な場合は、Laura TaylorまたはNichole Bechardまでご連絡ください。