トップクラスの人材を保持しておくためには、福利厚生、報酬、企業文化が大切であることはよく知られています。しかしながら、同様に大切であるにもかかわらず、見落とされやすい第4の要因があるのです。それは適材適所に人材を配置し、個々人の強みを最大限に引き出すことです。
なぜ適材適所の人材配置がそれほど重要なのでしょうか?それは仕事を高いレベルでこなしていくには情熱とエネルギーを必要とするからです。もし、社員が彼らの強みを生かせず弱みが目立ってしまうような役割のもとで懸命に働くようなことになれば、極度の疲労に陥ってしまう可能性が高いでしょう。現在の逼迫した労働市場において、人材確保を最優先と考えるならば、というよりむしろ人材確保は常に最優先事項であるべきですが、雇用主は上記のような食い違いを無視することはできないのです。
役割のミスマッチの兆候
役割のミスマッチは社員の技術スキルや仕事のスタイルに関して発生しうるものです。それは、例えば、財務が好きだけれど会計ソフトを使うのに苦心している社員や他人への共感が強いために私的または仕事上の問題を放っておけないような管理職のような場合です。役割のミスマッチの兆候は些細なもので、徐々に見え始めるのです。例えば、優秀な人材の生産性が徐々に落ちていく、熱意が失われていくといったことがあります。または、兆候が全くなく、優秀な社員があと2週間で退職すると唐突に言い出すこともあるのです。雇用主としてはこのような事態に発展する前に手を打つことが必要不可欠です。戦略的に運用することができれば、評価によって何が足りていないのかを把握することが可能です。
社員の評価を行えば適切な役割調整が可能になる
評価を通して、社員自身及び組織の利益に適うように、社員が適切な役割のもとで適切な仕事を行なっているという状態を作り出すことができます。評価を行なうことで、例えば役割に対する好き嫌い、やる気につながる要素、強み、伸ばしていく領域など社員に関する本質的なことが分かるようになります。最終目標は社員が強みを生かし、達成感を味わえるような最適な役割を見つけ出すことです。
- 採用プロセスの初期段階において、応募者は自分の興味を大げさに述べたり、能力を誇張して表現したりすることがあります。評価において大切なのは、役割に対して最適な人材を見極めることです。
- 雇用主は、個々の役割を判断しながら、評価を通して彼らの強み、伸ばしていくべき領域、仕事への満足度、好みなどを知ることができます。評価を通して理解が深まれば、職務範囲の調整や役割の変更を薦めることもできるようになります。最終目標は強みを生かし、不得意な領域や仕事のスタイルが合わない領域にかける時間を最小限にすることです。
- チームや組織全体の状況をより深く理解する必要があるならば、全体評価によって全チームの実態が把握でき、誰が役割の明確化を必要としているのか、また誰が役割の変更を必要としているのかが分かるようになります。加えて、新しい役割を作る必要があるかどうかも分かるでしょう。評価の後には、社員に対して最適で満足度が高く、そして生産的に働けるような役割が与えられていることを確かにするためにロードマップを作成します。
評価プロセスでは多くの場合に、評価の範囲や必要条件に応じて、認知力テスト、人物テスト、定式化された行動面接が含まれます。加えて、雇用管理者や監督者と話すこともあるかもしれません。評価後には口頭でのフィードバックと書面のレポートを受け取って、評価データを活用していくことになります。
どこでどのように始めるか
リーダーたちがトップ社員の名前を挙げて、全てがうまく動いていると考えている一方で、トップ社員からは不適切な役割の下で極度の疲労に近い状態にあるというフィードバックを受けることがこれまでにもありました。このような状態に陥らないようにしなければなりません。人材評価が必要だという決定に至る前に、まずは我々の組織心理学の専門家にご連絡頂き、どこから始めればよいかを相談してみてください。それが1人の社員、数人の社員、または組織全体のことであっても、これらの評価によって、仕事の満足度や役割調整といった難題に対して客観的な答えを得ることができるでしょう。