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欠損金(NOL)の繰戻還付金請求の対応に役立つ移転価格事前確認(APA)

2020年6月23日 / 2 min read

外国企業の米国子会社がNOLを繰戻し、還付金請求する場合、内国歳入庁(IRS)と移転価格税制に関する事前確認(APA)を締結することにより、不確実性を取り除くことができます。APAがどのように役立つのかをご紹介します。

新型コロナウイルス対策法(Coronavirus Aid, Relief, and Economic Security Act: CARES Act)により2018年から2020年に生じた欠損金(NOL)の繰戻還付制度が復活しました。多くの企業は、COVID-19によって多大な経済的打撃を受けているため、収益の出ていた過去課税年度にNOLを繰戻し、還付申請を行うことでしょう。多国籍企業は、多額の損失が発生している国での移転価格ポリシーに係る調査を受けるための準備をする必要があります。たとえば、米国では500万ドルを超える還付請求があれば、自動的にIRSから税務調査を受けることになります。こうしたリスクに備えるため、関連者間の移転価格ポリシーを確認し、十分な文書化をするべきです。納税者と税務当局が直接協議をするAPAは、国外関連者への多額のロイヤリティ支払いや、国外関連者から多額の在庫資産購入取引を有する企業の欠損金額を確定するのに役立ちます。

新規APA

国外関連者間取引のある企業は、COVID-19による経済的影響を考慮し、移転価格ポリシーの再評価を行うべきです。NOL繰戻しにより多額の還付金を請求する場合、APAを締結することによりNOLについての不確実性を軽減することができます。たとえば税務調査が始まる前にAPAをファイルし移転価格ポリシーに関し基本合意に達することができていれば、税務調査に関する不確実性を軽減することが可能です。

既存のAPA

すでにIRSとのAPAを締結されている場合は、現状でベースになっている経済的前提条件が適用されるか評価する必要があります。ほとんどのAPAが、事業を展開する経済環境についての前提条件を含んでいますが、パンデミックで見られるような混乱に対する救済措置が含まれているものはほとんどありません。締結済みAPAがある場合は、修正申請を考慮すべきかもしれません。2020年と2021年に更新されるAPAは、世界経済の「ニューノーマル」を反映するために、大幅な変更が必要になる可能性が高いと予測します。

多国籍企業は、多額の損失が発生している国における移転価格ポリシーに係る調査に対応するための準備をする必要があります。

税務当局は、COVID-19が多くの企業に甚大な損失をもたらしたことを理解しているはずです。しかし、当局がNOLの繰戻還付請求を不問で認めるとは限りません。多国籍企業には、NOLの妥当性を証明しなければならない、という付加的なハードルが常に存在します。APAは、特定の国において発生したNOLに対して税務当局が異議を唱えるリスクをマネージするのに役立ちます。

APAの締結もしくは修正申請の詳細については、プラントモランのアドバイザーにお問い合わせください。 

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